賀来惟熊

更新日:2020年11月18日

賀来惟熊 (かく これたけ)

賀来惟熊
 賀来惟熊年表
寛政  8年 1796年   賀来惟熊生まれる
文政  7年 1824年 28歳 長男・惟寧(これやす)生まれる(~1869)
文政10年 1827年 31歳 次男・惟準(これのり)生まれる(~1897)
天保  2年 1831年 35歳 三男・三綱(みつつな)生まれる(~1874)
天保13年 1842年 46歳 四男・惟舒(これのぶ)生まれる(~1921)
嘉永  2年 1849年 53歳 日出藩の注文を受け青銅砲を製造
嘉永  6年 1853年 57歳 島原藩の命を受け、島原藩領宇佐郡佐田村で
鉄製砲の製造事業に着手
安政  2年 1855年 59歳 佐田神社境内に反射炉を建設、その後2年余り
の間に8門の鉄製砲を製造
安政  4年 1857年 61歳 三綱、島原藩で反射炉を建設、2門の大砲製造
文久  2年 1862年 66歳 惟舒が佐伯藩で22門の大砲製造
慶応  2年 1866年 70歳 惟熊、佐田神社境内の反射炉を取り壊す
明治13年 1880年 84歳 惟熊死去
大正13年 1924年 没後44年 惟熊に従五位(じゅごい)が贈られる

賀来惟熊は、幕末の佐田賀来家の当主で、民間で初めて鉄製砲を含む大砲鋳造に成功した人物です。惟熊は、ヨーロッパの軍事科学にもとづく高い技術力と、多額の費用を必要とする大砲鋳造事業を4人の息子とともに現在の宇佐市安心院町佐田(当時の島原藩領)で成し遂げました。惟熊は、没後44年の大正13(1924)年、幕末の海防強化に貢献した人物の一人として贈従五位(ぞうじゅごい)の恩典を受けています。

大砲製造の背景

幕末の日本には、イギリス・ロシア・フランス・アメリカといった列強の船が、貿易を求めてやってくるようになりました。それまで、オランダと中国を除いて、諸外国との貿易を長く行ってこなかった江戸幕府は、列強の圧力に対抗するため、ヨーロッパ式の砲術を日本にも導入するとともに、全国の大名に対しては海防の強化を命じました。

このため幕府はもちろん、大名たちも大砲を入手し、沿岸部に数多く配備することで海防の強化を図りました。とりわけ佐賀藩は、青銅砲の製造から着手し、のちには佐賀城下の2ヵ所に反射炉(原料鉄の溶解炉)を建設して、これを利用した鉄製砲の製造を全国に先がけて行いました。

賀来惟熊の大砲製造

惟熊と4人の息子たちによる大砲の製造は、まず小型の青銅砲から始められたようです。この青銅砲の製造は、日出藩の求めに応じて行われました。そして嘉永3(1853)年、島原藩の許可を受けて、現在の佐田神社における反射炉の建設と、これを利用した鉄製砲の製造に取り組んでいきました。

反射炉の建設では、原料鉄の溶解温度に耐え得る耐火レンガの製作に苦心したとされていますが、安政2(1855)年に1基1炉の反射炉を完成させました。つづく反射炉の操業では、充分な溶解温度が得られないという新たな問題に直面しました。惟熊たちは、この問題をおそらくは送風装置を利用して、炉内に供給する酸素の量を調節することにより克服したものと思われます。こうした苦心の末に、惟熊たちは、安政4(1857)年頃までには全部で8門の鉄製砲を製造したといわれています。

惟熊たちが行った大砲製造は、たとえば佐賀藩と比べれば規模が小さかったといわざるを得ません。しかし、惟熊たちが製造した大砲が、日出藩・島原藩をはじめ、周辺の諸藩に配備されていたこと、さらには惟熊たちの製造技術が遠く鳥取藩へ伝えられていた事実をふまえると、彼らが幕末日本の海防強化の一翼を担っていたことは間違いありません。

賀来惟熊・飛霞関連事業

関連事業
日時 内容
平成24(2012)年  6月  1日~24日 県立歴史博物館企画展 「賀来飛霞~自然を見つめる~」
平成24(2012)年  6月  9日 「賀来飛霞・惟熊」顕彰バスツアー 歴博、佐田神社、広瀬水路、昭和の町など
平成24(2012)年  8月18日 郷土の偉人顕彰フォーラム 荒俣 宏 講演会
平成24(2012)年12月15日 市民環境歴史講座 「賀来飛霞・惟熊の生涯」 講師 平川 毅(歴史博物館)
平成24(2012)年12月末 宇佐学マンガシリーズ2 「賀来飛霞・惟熊」完成
平成25(2013)年  1月上旬 図書館2階ギャラリー企画展 郷土の偉人「賀来飛霞・惟熊」展
平成25(2013)年  1月下旬 宇佐学マンガシリーズ2 出版記念講演会

関連リンク

郷土の偉人顕彰シリーズ

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