中学校卒業式祝辞(平成29年3月3日)

更新日:2020年08月20日

中学校卒業式市長祝辞

明るい日差しが春の訪れを告げ、山々の木々にも新芽の吹き始めた今日の佳き日、ここに卒業証書授与式が挙行されるにあたり、一言お祝いのことばを申し上げます。

義務教育すべての過程を終え、卒業証書を手にされました卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。また、この日を我がことのように待ち望んでこられました保護者の皆様に対しましても、心からお慶びを申し上げます。

さて、卒業生の皆さんの胸の内には、この学校で学んだこと、クラブ活動、修学旅行など、様々な思い出が駆け巡ると同時に、これから踏み出そうとしている新たな一歩への不安や期待など、様々な思いが交錯していることと思います。そのような皆さんに、昨年ノーベル賞を受賞した日本人研究者のお話を贐として贈りたいと思います。

昨年、オートファジーの仕組みの解明に寄与した東京工業大学の大隅良典(おおすみ・よしのり)教授がノーベル生理学・医学賞に輝きました。オートファジーとは、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つです。細胞内をきれいにする浄化作用や、病原菌を分解する免疫などの役割を担っており、さまざまな疾患、細胞のがん化抑制にも関与することが知られています。しかしながら、オートファジーの研究者はごくわすかで、メカニズムや生体内での役割は長らく謎のままでした。

教授がオートファジーの研究を始めたのは、今から約二十九年前の一九八八年でした。人のやったことがないことをやる、しっかりと続けていくという姿勢で、基礎研究を積み重ねた結果、特殊な酵母を飢餓状態にすると、細胞内のタンパク質などが液胞に次々に運ばれる様子を光学顕微鏡で観察出来たのです。一九九二年にはオートファジーの具体的な仕組みを解明するとともに、オートファジーに関わる遺伝子も次々と発見しました。これらをきっかけに世界中でオートファジー研究が行われるようになり、生物学の新たな研究分野を切り拓いたことがノーベル賞受賞につながったのです。

受賞講演後の記者会見の中で教授は、「世の中にはわからないことが沢山あることを知り、素朴な疑問を持ち続けることが大切だ」と述べるとともに、「指導者を将来、自分が抜くものだと思ってくれる若者が育って欲しい」とメッセージを送っています。

卒業生の皆さんも、これから自分の夢や目標に向かって歩むこととなります。その行く手には、何故と疑問に思うようなことが沢山あると思いますが、何故という気持ちを忘れずに努力を積み重ねていけば、必ず道は拓けてくると確信しております。皆さんの夢が大きく花開くことを心からご期待申し上げます。

終わりに、これまで昼夜を分かたずご指導いただきました先生方、並びに保護者の皆様方のご労苦に対し、深甚なる敬意と感謝の意を表しますとともに、卒業生の皆さんのご多幸と光り輝く前途をご祈念申し上げ祝辞といたします。

平成 29年   3月 3日

宇佐市長 是永 修治

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