市長コラム「伊知ものがたり」(令和2年4月号)

更新日:2023年04月06日

伊知ものがたり

いちものがたり

江戸時代中期、矢部村に伊知(いち)という女性が病の夫弥兵衛(やへえ)と弟の金六(きんろく)、そして目の不自由な母と暮らしていました。伊知はいつもぼろぼろの着物をまとい髪も乱れていましたが、心すがすがしい蓮の花のような人でした。

ある日、弥兵衛は母と自分を献身的に世話する伊知に感謝を述べ、私はもう長くない、実家に帰り別の人に嫁いで幸せになっておくれと申し出ますが、伊知は聞きません。やがて弥兵衛が亡くなると、親戚の人たちは今度こそ幸せになってほしいと頼みますが、伊知は母と亡き夫と同じ病に侵された弟を置いて家を出ることはできないと受け付けません。貧しさや悲しさに負けず、ひたすら尽くす姿に村人たちは心打たれます。

この話を耳にした中津城主の奥平侯は褒美に米を授けるとともに、明和5年(1768年)68歳で伊知がこの世を去ると、伊知の行いを広く伝えるため「孝婦伊知の碑(宇佐市指定史跡)」を建てました。現在も西馬城小学校の体育館前で大切に守られています。平成29年、伊知の250回忌を記念し、西馬城地域づくり協議会が絵本「いちものがたり」を再発刊しました。孝女伊知の善行は今なお語り継がれているのです。

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