市長コラム「小倉の池伝説」(令和元年5月号)

更新日:2023年04月06日

小倉の池伝説

フジの写真

ゴールデンウイークの頃になると小倉の池湖畔には紫・白・ピンク、約250本のフジが咲き誇り、背後に広がる茶園やバラ園とのグラデーションが多くの観光客を魅了します。

小倉の池は周囲4km、灌漑面積165ヘクタール、市最大のため池ですが、悲しい伝説があります。江戸時代初期、黒田氏の後に入部した細川忠興が管内を巡視した際、干害に苦しむ農民の姿に胸を痛め、家臣に救済策を命じました。家臣たちは庄屋と相談し、ため池を完成させますが、その夏の豪雨で出来たばかりの堤防が流されます。茫然自失に陥った人々は「人柱を立てて神仏の力を借りるより外はない」と肩を落としていました。

そのような中、元重村のクラという女性が、自分は早くに両親を亡くし夫や子供にも先立たれ、人の役に立つのならばと自ら人柱になることを申し出たと伝えられています。慶長12年(1607年)、白装束に身を固めたクラは宇佐神宮に向かって掌を合わせ堤の中に消えていきました。

以来約400年、小倉の池は大地を潤しています。美しい風景、多くの観光客にクラもきっと草葉の陰で喜んでいることでしょう。今年もクラの遺徳を偲びつつ、フジやバラを楽しみたいと思います。

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