市長コラム「鏝絵 その1」(令和3年2月号)

更新日:2023年04月06日

鏝絵 その1

重松家「雲龍」

重松家「雲龍」

  日本の主流である木造建築は壁に漆喰(しっくい)を塗り、水や火に備えました。漆喰とは消石灰を主成分にスサ(植物繊維)、糊(のり)材などの有機物を混ぜて練り上げたもので、防水性・耐火性に優れ、古(いにしえ)より城郭や寺社、民家、土蔵などに用いられました。その漆喰の壁面に左官職人が鏝を使って描いたレリーフ(浮き彫り)のことを「鏝絵(こてえ)」といいます。
  鏝絵は、全国に2000から3000点ほどあるといわれていますが、大分県がその半分を占め、中でも安心院町には100点以上が存在し、日本一の密集度を誇っています。通称鏝絵通りと呼ばれている折敷田・下毛地区を歩けば、七福神、竜虎、唐獅子などが競います。顔料を練りこんで造られた鏝絵は100年以上たった今でもその輝きを失っていません。
  余談ですが、虎と富士山の鏝絵がある重松邸は「御許山(おもとやま)騒動」の中心である佐田秀(さだひずる)らが討幕謀議を行った場所でもあり、御許山騒動時に掲げた錦の御旗が所蔵されています。
  鏝絵の図柄には意味があり、恵比寿・大黒は商売繁盛や五穀豊穣、雲龍は火事除け、ウサギは子孫繁栄、虎は疫病除けなどを表しています。
  安心院町は、明治・大正にかけて養蚕で栄え、多くの建造物が建てられました。棟梁は建物完成のあかつきに、施主のさらなる繁盛や招福の願いを込めて鏝絵をプレゼントしたのです。

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